里山を望む2棟の平屋からなる家F様邸

見えるもの、見えないもの。どちらも大切にした心地よい空間。
素材の手ざわりが、歳月を経て深まる趣をつくる。

ご夫妻が重視する条件を兼ね備えていたことが、阿部建設を選んだ決め手

ご主人 以前は駅の近くの賃貸マンションに住んでいて、僕たち夫婦にとってはマンションの方が生活しやすいと思っていました。戸建て住宅の場合は家や庭の手入れに手がかかりそうなイメージだったんです。

奥様 でも、子どもを育てるなら一軒家がいいよね、と話し合って。家の中でも庭でも外でも、子どもと気兼ねなく遊べますから。郊外にある実家の横の土地が売りに出されたことを知り、家づくりを始めました。

ご主人 コロナの影響も大きかったですね。車で移動する機会が増え、駅に近い立地のメリットが少なくなり、郊外の良さに目が向きました。
それで家づくりの情報を集める中で、建築家・伊礼智さんによる提案型住宅「i-works project」に興味を持ち、i-worksも手がけている阿部建設のホームページにたどりつきました。

奥様 Instagramでも阿部建設の建築事例を見つけ、かっこいいと感じました。私はもともとインテリアに興味があり、家づくりではデザインを重視したいと思っていました。主人は性能にポイントを置いていて、ふたりの価値観が一致した会社が阿部建設でした。

ご主人 それに阿部建設の担当者は、窓枠のディテールについて話した時、こちらの意図をきちんと理解してくれました。「ムダな線はない方がいい」という要望に、「それはこういうことですよね」って応えてくれて。ほかでは、性能に重点を置く会社はデザインの話が噛み合わなかったり、理解してくれたようでも提案内容の方向性が違っていたりしたので。コミュニケーションのとれる担当者に会えたこともあり、阿部建設に決めました。

かっこいいデザインと、温熱環境や耐震などの性能を重視

奥様 住まいに求めたのは、かっこいいこと。それでいて、私たちが50歳とか60歳になっても違和感がないことが大切です。例えば、使う素材が木や漆喰なら、何年経っても古さを感じることなく、ずっと好きでいられると思いました。

ご主人 性能面では、温熱環境を考慮しました。暑い・寒いというストレスや、エアコンの電気代を抑えたかったからです。そこで取り入れたのが床下エアコンと小屋裏エアコン。小屋裏エアコンについては専門のコンサルタントに依頼し、阿部建設と一緒に設置してもらいました。また、南海トラフ巨大地震への備えとして耐震性も重視しました。
何より大事だったのは、普遍性です。ローンの支払いが途中でいやになるような家は絶対に避けたい。この先も変わらずに魅力や価値を感じ続ける普遍性を大切にしました。

奥様 ふたり共通の希望は平屋でした。マンション暮らしで、ワンフロアでの生活が快適だと実感していたからです。掃除がラクだし、生活動線や家事動線もスムーズですし。

奥様 建物はなるべく南向きにしたかったのですが、そうすると私たちの家だけが、周りの家と違う方向を向いてしまうという問題がありました。そこで、建物を北側と南側に分けて、北側は周囲と同様に道路に沿って建て、南側は真南に向けたのです。結果的にユニークな形の住宅になり、中庭のようなスペースも生まれました。外から見ると、向きの異なる壁があって個性を感じさせます。

ご主人 意味ありげな建物というか…。屋根の形も含めていい雰囲気です。
こうしたレイアウトが決まったら、家づくりは順調に進んでいきました。ただ、ひとつ悩んだのはリビングのコーナーにある東側の窓です。この窓は重視したかった場所でした。

奥様 ここから景色が見えたらいいなと思ったんです。でも、パースがなかなかしっくりこなくて。家の中から見ていい感じでも、外からの視線が気になるだろうな、と。どれくらいの大きさや位置なら、室内でも外からも最適かを迷いました。パースは10回ぐらい手直ししてもらったと思います。

ご主人 山を眺めながら育った妻が、この家からも山を見ることができるよう、窓の位置決めに力を入れました。思い出の景色を再現、と思ったんです。実際のところ、妻自身はそういう意図ではなかったようなのですが…。

リビングに“居場所”を。動線がスムーズな水回りもお気に入り

ご主人 完成した家に暮らしてみて、気に入っているところはリビングの中にある小上がりの畳コーナーです。ごろんと寝転がったり、子どもと遊んだり。おもちゃを散らかしても畳の上だけで済み、リビングを歩いている時にうっかり踏み付けることもありません。小上がりには小さな窓も設けてあり、子どもが立つとちょうど背の高さぐらいになります。そこにミニカーなどを並べていて、ちょっとしたディスプレイコーナーのようにもなっているんですよ。

奥様 私にとっては掃除がしやすく助かっています。散らかる範囲が小上がりだけで済むので、ストレスも少ないです。

ご主人 この小上がりも含めて、リビングにはあちらこちらに座れる場所を設けました。子どもが成長してもリビングで過ごせる“居場所”をつくりたかったからです。成長すると自分の部屋にこもりがちですが、リビングに来て好きなことをして過ごしてほしいと思います。付かず離れずのちょうど良い親子関係を築けたらいいですね。

奥様 年月が経っても家族が同じ場所でそれぞれ楽しめたらと思います。
ほかに、私が気に入っているところは水回りです。特にランドリースペースは動線がスムーズ。洗濯物をたたんで、後ろを振り返ればすぐにしまうことができます。以前は、それぞれの部屋へ持って行ってしまうのが手間でした。収納場所をランドリーの近くに設けたいと思っていたので、それが叶ってうれしいです。
また、住んでから気づいたのは、建物の位置をずらしたことで、子ども部屋から廊下を望んだときの見え方がおもしろいんです。かっこいい雰囲気で好きですね。予想外の発見でした。

ご主人 今後は、中庭に植えた木がだんだん育っていき、その豊かな緑を室内からゆったり眺められたらと思います。家の中では、漆喰や木の味わいが年月とともに深まっていくのが楽しみですね。

奥様 リビングの照明がつくりだす夜の雰囲気が好きなので、ここで飲める日を空想しています。友人も呼んで楽しみたいですね。また、家が完成したので、これからは好みのインテリアを増やしたいです。花瓶やグリーンを飾ったり、ラグを敷いたり。一つひとつ加え、もっと好きな空間にしていきたいと思います。