ワンフロアで心豊かに暮らす家O様邸

真夏も真冬も快適に暮らせる温熱環境。
細部まで気を配り、ふたりのお気に入りを集めた住まい。

犬とともに心地よく暮らすことがテーマ。機能性とデザインを追求

奥様 夫の勤務先の近くに住むため、家づくりを考えました。隣県から通っていたのですが、通勤に2時間半かかり、毎日早朝に出かけるのはやはり厳しそうだったので…。まずは敷地選びから始めようと、夫の勤務先の近くにアパートを借り、そこに住みながら土地を探しました。インターネットや町の不動産屋さんで情報を集めたり、休日には近所を見て回ったり。そんなある日、立地や広さなどの条件に合った売り物件をネットで見つけ、すぐに現地を確かめに行きました。

奥様 その土地は、阿部建設の担当者にも見に来てもらいました。土地と並行して工務店も探していて、建築家・伊礼智さんのi-works(※1)について調べる中で阿部建設を知ったんです。担当者に「こういう感じの家をつくるなら、この土地で大丈夫?」と尋ねたところ、現地を確かめた上で図面を描いてくれました。その結果、問題ないということで、土地も設計プランも決定しました。i-worksを手がけているということで最初から信頼していたので、他社に相見積もりを取ることもなく、阿部建設一択でしたね。実際には、i-worksではなく、自由度の高い注文住宅にしています。

ご主人 家をつくるなら、平屋がいいと思っていました。ワンフロアで生活のすべてが成り立つのが快適だと、以前タイに住んでいた時に実感したからです。外観はイメージしているものがあって、質感や色合いに惹かれた「そとん壁(※2)」が私たちの第一希望でした。

奥様 でも最初は、本当にそとん壁を採り入れられるとは思っていませんでしたね。理想としたのは、流行り廃りに影響されず、昔からそこに佇んでいたように町並みに馴染み、年月とともに趣や味わいが深まっていくようなイメージです。
また、私は古いものが好きで、以前は昭和初期に建てられた家に住んでいたのですが、夏は暑すぎて冬は寒すぎる状況でした。だから、暑くも寒くもない家にしたいと強く思いましたね。

ご主人 設計プランは最初の提案そのままです。だから、ワンフロアで生活し、収納などに使える小屋裏のある2階建てという間取りは早々と決まり、家づくりの過程では木材や部材、設備仕様などディテールの話し合いを重ねていきました。
わが家のテーマの一つは、犬も人も快適に暮らせること。犬のハウスを置く専用空間やひなたぼっこができるウッドデッキを設けたほか、床の木材選びでは犬が歩き回りやすいことをポイントにしました。基本的にヒノキを使うそうですが、わが家はやわらかく足ざわりのよいスギを選んでいます。

奥様 もう一つ、木材については、阿部建設の提案でリビングにチェリーを使っています。ここにはラオスや日本の古い家具を置く予定だったので、その色合いと調和するからと勧められました。チェリーは、当初リビングの飾り棚やキッチンに使おうと思っていましたが、LDKの室内全体に用いることに。阿部建設で一般的に使われるシナよりも濃い色調が、わが家のインテリアに馴染み、落ち着いた雰囲気になりました。
キッチンはシステムキッチンではなく、サイズやイメージに合うものを造ってもらいました。シンクは、角が丸みを帯びているのではなく、直角に折り曲がっていて、シンク下が空間になっているタイプです。同様にレンジフードも直角の多いフォルムです。蛇口のデザインやスイッチ・コンセントの形状にもこだわっているんですよ。
また、リビングのドアにはレトロな雰囲気のチェッカーガラスを使いたいと伝えたところ、それまでは取引がなかったという仕入先から取り寄せてくれたんです。こうして好みのディテールで満たされた空間が生まれました。

※1 i-works project(アイワークス プロジェクト) 建築家・伊礼智氏がシステム設計を行った提案型住宅。ちいさくてもゆたかに暮らすことのできる資産価値の高い住まいです。阿部建設では伊礼氏との住宅づくりを「ima」プロジェクトとして提案しています。

※2 そとん壁 シラスと呼ばれる火山灰からできている外壁材。防水性や耐久性に優れ、退色や劣化が起きにくいことが特徴。自然素材独特の風合いと美しさがあります。

思い描いていたイメージを実現。趣味の時間もより豊かに

ご主人 新しい家で特に気に入っているところは、先ほど話したそとん壁の外観ですね。最初は予算面からムリかと思っていましたが、調べていくうちにそれほどハードルが高くないことがわかり、本当にイメージ通りの佇まいを実現できました。
それに、趣味の部屋である土間。自転車を整備・調整したり、タイヤ交換をしたりといろいろな作業ができて使い勝手がいいんです。憧れていた、壁にギターをディスプレイすることも叶いました。楽器店のように見た目もかっこいいですし、保管もできて一石二鳥ですよ。

奥様 趣味の部屋はそれぞれあり、私の場合は手紙を書いたり洋裁をしたりするほか、アイロンかけなどの家事もします。自分専用だから、好きなだけ散らかせるのもいいですね。
2つの趣味部屋は隣り合わせてレイアウトし、部屋と部屋との間には透明なガラス戸を使っています。別々に過ごしていても、なんとなくお互いの様子を感じられるようにしました。

ご主人 ほかにも、トイレや洗面室の床にはコルクを使っており、柔らかくて滑りにくく、足元が冷たくなくて気に入っています。

奥様 寝室の薩摩中霧島壁もいいですね。自然素材ならではのクリーム色や薄緑色のようなやさしい色合いと、天井の木の風合いが調和し、すごく落ち着いて心地いいんです。

ご主人 以前の家から大きく変化したことは、過ごしやすさです。パッシブ冷暖を導入しており、夏も冬も快適ですよ。

奥様 断熱性や気密性などの家の性能は、デザインよりも大切ではないかと実感しています。以前は毎冬しもやけに悩まされていたのですが、新しい家ではできなかったんです。断熱性能が高く、足元から暖かいことがその理由だと思います。
それに家での過ごし方として、植物と接する時間が増えました。庭の植栽は自分たちで植えて、休日は木の手入れをしたり、家庭菜園で畑仕事をしたりと楽しんでいます。

ご主人 ここは変形敷地でしたが、建物以外のスペースを家庭菜園や庭に有効利用できて結果的によかったですね。

奥様 これからも庭仕事をして、家での時間を楽しみたいです。植木鉢から庭に植え替えたりして花にも手をかけたいと思っています。心和んだり豊かな気持ちにしてくれることを大切にしたいですね。

奥様 家づくりを振り返ってみると、スイッチやコンセントの位置は検討して決めたのですが、実際に使ったらちょっと不便かなと思う箇所もありました。これから家をつくる方は、設計図面の中で生活したつもりになって、それぞれのスイッチはどんな場合に使うかを考えるとよいのではないでしょうか。他に、「音」も意識した方がよかったなと感じています。ワンフロアで寝る・食べる・過ごすと、意外に電化製品などの音が気になることがあります。図面ではわからないことですが、住まいの中の音も想像してみるといいかもしれませんね。

ご主人 いい家は、自分たちで調べて勉強してこそ実現すると思っています。そうしないとリクエストも質問もなかなかできませんよね。施主のアイデアや思いに、阿部建設の提案がプラスされることで、満足のいく家をつくることができるのではないでしょうか。